経済学部時代、心に残った統計学の教科書たち
今日、卒業できる人のリストが貼り出されまして、正式に(?)卒業が確定しました。
なので、授業等で読んで心に残った教科書たちを感想と共に紹介したいと思います。
統計学を勉強し始めて2年経つのですが、統計学に限らず大学レベルになると、入門書と中級の本のレベルの乖離がすごいです。
さあ、この本読んだし次のレベルの本を読むか。→意味わからん が多発しました笑
ここで紹介する本は、入門レベルから中級レベルの橋渡しになる本が多いかな、と思ってます。誰かの参考になればうれしいです。
印象に残った本5冊
- 作者: 田中豊,中西寛子,姫野哲人,酒折文武,山本義郎,日本統計学会
- 出版社/メーカー: 東京図書
- 発売日: 2015/12/10
- メディア: 単行本
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統計学のゼミに所属し、1冊目に読んだ(読まされた)のがこちらの本。
記述の正しさと紙面に意識が向きすぎて、わかりやすさがまったく考慮されてない感じですね。
なお、改訂前は誤植すらあってひどかった模様
確か終盤の一元配置分散分析の発表を担当したのですが、これがまったくわからない。
結局、図書館で分散分析を扱ってる本を新たに借りてきて、それを照らし合わせて発表するという。
ただし、統計検定の2級に合格したい人や、既習者が参照するにはなかなか良いです。
統計学基礎の辞書みたいな感じですね。
- 作者: 山本拓
- 出版社/メーカー: 新世社
- 発売日: 1995/04/01
- メディア: 単行本
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この本はかなりお勧めです。計量経済学という題名ですが、内容は古典的な回帰モデルについて書いてあります。
基礎編と応用編に別れており、基礎編では平均や分散の定義から、最小二乗法、ガウスマルコフの定理などが書かれています。
応用編では、残差が標準的な仮定を外れる時の分析方法(非線形なモデル、過分散の場合、系列相関がある場合、説明変数と残差が相関をもつ場合)などの説明が書かれています。
これらの説明を線形代数を使わずに説明してくれており、計算の仮定も詳細に書かれているので、さくさく読むことができます。
この本で計量経済学の学部中級レベルらしいです。
この本のレベルを超えてくると、線形代数が必要になってきます。
- 作者: 高杉豊,馬場敬之
- 出版社/メーカー: マセマ出版社
- 発売日: 2011/09
- メディア: 単行本
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統計検定2級を合格した後で読んだのがこの本。
確率密度関数を積分して実際に確率を出してみるとか、変数変換とか、実際に手を動かして勉強すると理解が深まります。
こういう計算に慣れるとほかの統計学の教科書が読みやすくなると思います。
これも高校レベルの微分積分のみでほぼ全部解けます。
- 作者: 石井俊全
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2014/12/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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線形代数の必要性に迫られて読みました。
行列の足し算から、逆行列、ランク、写像、対角化など理系の学部の1~2年?で習うようなことが書かれている感じですかね。
けっこう詳細な説明をかみ砕いて説明してくれていて、一番読みやすかった線形代数の本かもしれません。
ただし、私は最後のジョルダン標準形で折れました(笑)
- 作者: 永田靖
- 出版社/メーカー: 朝倉書店
- 発売日: 2005/04/01
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3部構成で、1部では1変数の微積分、2部では行列、3部では多変数関数の微積分について書かれています。
かなり内容が凝縮されて書かれていて、基本的に定理→証明という形で進んでいきます。
ただ、これだけ内容が濃いのになぜかわかりやすい。例題も豊富で、例を通して理解できるようになっています。
数学初めて!という人にはハードルが高いですが、高校数学しか知らなくて、行列もそれほど・・という自分のような人にはお勧めしたい本です。
ところどころにこの数学の定理がどのように使われているか?というコラムも載せられていて、モチベーションが持続できます。
- 作者: 東京大学教養学部統計学教室
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 1992/08/01
- メディア: 単行本
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前回は2章の回帰モデルで心が折れました。射影?射影子?なんだそりゃというような感じで。
ですが、上の本を読んだあとにまた挑戦してみると、わかる部分は増えた気がします。
また、パラパラめくってみた感じ、2章が山場でほかの章は読める部分も多そうな気もしてきました。
twitterとかでもたまに話題になってたりするのですが、間違った記述をしてる統計学の教科書もあるみたいです。(特に仮説検定あたり)
やはり、こういう定評のある教科書をシッカリと読んで正確に理解するのが大事かな、と思います。
おわりに
さて、私のしょぼいレベル感がバレてしまったと思うのですが、6月までには東大の青い本を読んで、7月からの事業部配属でバリバリスキルをつけてやろうと目論んでおります。
もしこのブログを見つけてくださった方は、生暖かい目で見守ってくれると嬉しいです。